CKD(慢性腎臓病)は、たんぱく尿などの尿の異常、諸検査で見られる腎臓の障害、あるいは腎臓の働きが低下した状態が続くなどの腎臓の病気を指します。日本には1,330万人のCKD患者さんがいるとされており(2005年時点)、国民病の一つです。
腎臓の働きは年齢とともに低下するため、高齢になるほどCKDのリスクが高くなります。また、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病がある患者さんはCKDのリスクが比較的高く、肥満、食べ過ぎや喫煙などの生活習慣もCKDの発症・進展に関連していることがわかっています。そのため、CKDの発症あるいは進行を防ぐためには、適切な食事や適度な運動、禁煙などの生活習慣改善に取り組むことが大切です。高血圧や糖尿病などがある患者さんはこれらの原疾患をきちんと治療していくことも重要です。
CKDは、初期には自覚症状がほとんどないため気づかれにくいものです。進行すると、夜間多尿や貧血、むくみ、だるさ、血圧上昇などの症状があらわれてきます。さらに腎臓の働きが低下してCKDが重症化すると尿毒症(後述)など生命を脅かす事態に陥るため、腎臓の働きを代替する透析療法や腎臓移植が必要になります。日本では、透析に至る原因として糖尿病(糖尿病性腎臓病)の割合が非常に多い状況にあります。
また、CKDは透析の原因になるだけではなく、心臓病や脳卒中のリスクを高めることが明らかになっています。CKDを管理し、CKDのリスクとなる高血圧や糖尿病を適切に治療することは、腎臓だけではなく、心臓や脳を守ることにもつながります。